資産と按分
社用車・保養所・PC回線を経費にするとき、記録のどこが見られるか
これらの支出でつまずくのは、たいてい金額そのものではなく記録の側です。「事業で使っている」と言えるかどうかは、支出時の判断ではなく、後から取り出せる記録の有無で決まります。
社用車は、按分の根拠を残せるかで決まる
車両を事業の用に供している場合、取得価額を耐用年数にわたって減価償却し、燃料費・保険料・自動車税などを必要経費に算入できるとされています。事業とプライベートの両方で使う場合は、事業使用分だけを按分して計上します。
よくある誤解は「事業用として買えば全額経費になる」というものです。実際には使用実態に応じた按分が求められ、按分割合の根拠を説明できるかどうかが問われます。走行距離や使用日数など、割合の出し方を一つ決めて記録を続けるのが確実です。
残しておくと説明しやすい記録
- ・走行距離の記録(業務・私用の別、または業務使用日)
- ・按分割合をどう決めたかのメモ(距離基準・日数基準など)
- ・車検証・保険証券・購入時の契約書
- ・燃料費や駐車場代の領収書と、その日の業務内容
保養所・別荘は、福利厚生として成り立つかが焦点
従業員の福利厚生施設として保有・賃借する場合、その費用が福利厚生費として扱われるかは、全従業員が平等に利用できる状態にあるか、利用実態があるかによって判断されます。
役員やその家族だけが使っている実態があると、経済的利益の供与として役員給与に該当し、損金不算入とされる可能性があります。所得税基本通達にも、資産の無償による貸付けなどによる経済的利益の扱いが定められています。
残しておくと説明しやすい記録
- ・利用規程(誰が・どういう条件で使えるか)と、その周知の記録
- ・利用申込・利用実績の台帳(利用者の属性が偏っていないか)
- ・役員が使った場合の負担額と、その算定根拠
パソコン・回線は、金額で処理の道が分かれる
パソコンやタブレットは取得価額によって処理が変わります。10万円未満は取得年に全額を経費にでき、10万円以上20万円未満は3年均等の一括償却資産という選択肢があります。青色申告をしている中小企業者等には、少額減価償却資産の特例(年間合計300万円まで)もあります。
この特例の取得価額基準は、2026年4月1日以後の取得から30万円未満が40万円未満に引き上げられています。適用期限も延長されており、対象となる事業者の要件も見直されています。
通信回線は自宅と兼用になりやすく、事業使用割合の按分が必要になります。回線ごとに分けるのが難しい場合は、使用時間や業務日数など説明できる基準を一つ決めておきます。