会社から個人にお金を残す設計:給与 vs 配当

役員報酬と配当は、法人・個人双方への影響が全く異なります。どちらかに極端に寄せる前に、5つの軸で比較してください。

給与(役員報酬)配当
法人側の扱い損金算入できる(定期同額給与等の要件を満たせば法人税の課税所得を減らせる)損金不算入(法人税を払った後の利益からの分配)
社会保険料労使双方に発生する(健康保険・厚生年金、概ね報酬の28〜30%前後を労使で折半、2026-07-17時点)発生しない(配当には社会保険料がかからない)
個人側の税負担給与所得として総合課税(給与所得控除あり)総合課税を選べば配当控除(所得税10%・住民税2.8%、課税所得1,000万円超の部分は所得税5%・住民税1.4%)を受けられる。少額配当(1回10万円×配当計算期間の月数/12以下)は申告不要制度も選べる
退職金の計算基礎への影響役員報酬の水準は、退職時の功績倍率法等による役員退職金の計算基礎になりうる退職金の計算基礎には通常影響しない
融資審査等への影響個人の収入として住宅ローン等の与信審査で評価されやすい個人の「収入」として認識されにくい場合がある(金融機関により扱いが異なる)

考え方の補足

  • 給与を増やすと社会保険料負担(労使合計で概ね報酬の28〜30%前後)が発生する一方、配当にはかからない。これだけを見ると配当が有利に見えるが、配当は法人税を払った後の利益からしか出せないため、法人の利益水準・実効税率次第で有利不利が逆転しうる。
  • どちらか一方に極端に寄せるのではなく、社会保険料の逆進性(標準報酬月額に上限がある)や退職金設計、将来の資金使途(住宅ローン等の与信)まで含めて、税理士とバランスを検討するのが実務上の一般的なアプローチ。
  • この比較は簡易な判断軸の提示に留まる。実際の最適な配分は、個人の他の所得・法人の利益水準・社会保険料の上限額等によって大きく変わるため、精緻な試算は税理士に依頼すること。

断定しません

このページは判断の軸を示すのみで、具体的な最適配分の計算は行いません。個人の他の所得・法人の利益水準等を踏まえた精緻な試算は税理士に依頼してください。

給与と配当の配分を決めるまでの手順

  1. 1

    5つの軸で現状を整理する目安:30分

    上の比較表(社会保険料・損金算入・所得分散・法人税・受取時の課税)を見て、自分の状況(他の所得の有無・扶養家族・法人の利益水準)に照らして整理します。

  2. 2

    社会保険料の負担を試算する目安:20分

    役員報酬は社会保険料の対象ですが、配当は対象外です。ただし社会保険料には将来の年金額に反映されるという側面もあるため、単純な負担額だけで判断しません。

  3. 3

    法人の利益水準・配当可能利益を確認する目安:15分

    配当は法人の利益(繰越利益剰余金)の範囲内でしか出せません。tax-navの貸借対照表・損益計算書で配当可能な水準を確認します。

    貸借対照表を見る
  4. 4

    精緻な試算は税理士に依頼する目安:依頼〜回答まで数日

    このページは判断の軸を示すのみです。個人の他の所得・扶養控除への影響・法人の資金繰り等を踏まえた精緻な最適配分の計算は、税理士に依頼することをお勧めします。